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茨城県で都道府県として全国2例目のLGBT差別禁止を明文化する条例が成立、同性パートナーシップ証明制度は先送りに
この1月、「茨城県が同性パートナーシップ証明制度の導入を検討、都道府県では初」というニュースをお届けしました。LGBTへの差別禁止を明文化する男女共同参画推進条例改正案が提出され(これ自体も東京に次いで全国で2例目で、先進的です)の中に、同性パートナーシップ証明制度のことも盛り込む方針でした。
もう少し具体的にお伝えすると、当初の茨城県男女共同参画推進条例の一部を改正する条例(案)では、改正の内容は以下のようになっており、同性パートナーシップ証明制度は、条例が可決された後の「情報提供・啓発等必要な施策」の一つとして位置づけられていました。
(1)性的少数者に対する差別の禁止を規定
何人も性的指向や性自認を理由とする差別的取扱いを行ってはならない旨の規定を追加する。
(2)性別による権利侵害の防止又は解消に係る施策の実施等を規定
セクシュアルハラスメント及び配偶者等に対する暴力的行為の防止並びに性的指向及び性自認を理由とする差別的取扱いの解消を図るため,県は情報提供・啓発等必要な施策を講じるものとする規定を追加する。
ところが、3月14日、県議会最大会派のいばらき自民党は、「社会的に認知されていない」として同性パートナーシップ証明制度の導入につながる「必要な施策を講じる」という文言を削除し、「相談体制の整備を行う」などと置き換える修正案を提示し、保健福祉医療委員会で賛成多数で可決されました。同党が6日に立ち上げた「LGBT等特別検討委員会」で座長を務める森田悦男県議は、「パートナーシップ制度の導入は社会の理解も含めて時期尚早だ」と述べています。
これに対し、大井川和彦知事は「理解が得られるまで何もしないのは差別や偏見の温存になる」「(反発を)押し切って信じた道を走る」と語りました。そして、同性カップルについて、家族ではないことを理由に病院で面会ができない可能性があることや、県営住宅に入居できないことを挙げた上で「(LGBTが)一人でも多く胸を張って生きられるような社会を作る」と決意を表し、同性婚についても「何が悪いんだと思っている」と賛成の立場を示しました。
3月25日、茨城県議会は男女共同参画推進条例改正案(修正案)を賛成多数で可決しました。
大井川知事は記者会見で、同性パートナーシップ証明制度について「(導入に慎重な)県議会の意思を受け止めたうえで検討していきたい」と語り、4月以降に有識者や県議らによる勉強会を開催する考えを明らかにしました。
参考記事:
茨城、LGBT差別禁止を明文化 男女参画条例を改正(共同通信)
https://this.kiji.is/482815281112958049?c=39546741839462401
パートナーシップ導入へ条例改正案可決 茨城県議会(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/190325/lif1903250028-n1.html
県パートナーシップ制度 先送り 方針確認 いばらき自民(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201903/CK2019031202000154.html
パートナーシップ「待った」 条例修正案可決 県議会委員会(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201903/CK2019031502000160.html
県議会 自民、修正案提案へ 男女参画条例改正案巡り/茨城(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20190312/ddl/k08/010/041000c
パートナーシップ制度 知事「信じた道走る」 自民「導入は時期尚早」/茨城(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20190317/ddl/k08/010/097000c