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那覇高校が制服の選択制を導入、トランスジェンダーへの配慮として
沖縄県立那覇高校が1月7日に始まる3学期から、制服の選択制を導入しました。ズボンかスカートかを事前申請なしで選んで着用することができます。トランスジェンダーへの配慮や、防寒・肌トラブルなど多様なニーズに対応するための取組みだそうです(詳しくはこちら)
那覇高は昨年4月以降、検討を進め、11月には全校生徒にアンケートを実施。「賛成」が7割を超え、「反対」はたったの3.6%、「どちらでもない」が22.4%という結果になりました。
制服選択制の導入は、沖縄県内では浦添高校(昨年4月から)に次いで2校目です。学ラン、セーラー服使用校では全国的にも珍しいといい、関係者は「制服で悩む子どもたちが前向きになれれば」と期待しています。
制服に関して県内では「申し出があれば配慮する」というスタンスの学校が多いそうですが、那覇高校では、性について悩む生徒が親や教師に相談できないことも多いことに配慮し、申し出なしで自由に制服を選択できるようにしたそうです。喜瀬実名子養護教諭は「制服選択制を期待する声があった。自分らしくいていいという学校からのメッセージの一つ」と語りました。
自身もゲイで、性の多様性について講演活動を行う竹内清文さん(ピンクドット沖縄にも出演していますね)は「親や教師に自身の性を相談できない子がほとんどだ。事前相談が要らない点が画期的」と那覇高の決断を評価します。「性自認とは異なる制服着用を強要され、不登校になる子もいる。伝統ある那覇高から他の高校、続けて中学校にも選択制が広がってほしい」と語りました。
こうした制服選択制の導入の背景には、文部科学省が2015年、学校現場に対し、性同一性障害の児童・生徒が自認する性別の制服を着ることを認めるよう求めるなど、きめ細かな対応例をまとめた通達を出したということがあります。
また、那覇市は、いち早くLGBT支援宣言を発したほか、同性パートナーシップ証明制度の導入、市営住宅への同性カップルの入居なども実現しています。こうしたことが、那覇高校の方針にもよい影響を与えていると思われます。
さらに、琉球新報1月8日付の社説では、「制服選択制の導入 多様性の尊重は学校から」と題し、「大人になっても親にさえ言い出せずに悩んだ当事者の話を聞くと、親しい人にも相談できずに苦しむ子どもたちの姿が目に浮かぶ」「県内中学高校のほとんどが制服制である。性的少数者は中学入学を機に深く悩む可能性が高い。制服の見直しはそれを軽減する一助となる」「多様性の尊重は、教育現場で身に付けてこそ将来に生きる」と述べられています。こうした、沖縄の多様性を尊重しようとする風土もまた、プラスに作用していることでしょう。
中学・高校の制服については、昨年4月、千葉県柏市の市立柏の葉中学で、性別に関係なく誰でも自由に選べる制服が導入されて話題となりました。
また、東京都世田谷区では、すべての区立中学の標準服でスラックスとスカートが選べるようにするよう検討していると報じられました。
福岡市立警固中学は、来年4月から、性別に関係なくズボンとスカートを自由に選べるようにすることを決めました。
12月には、群馬県東毛地域のトランスジェンダーの生徒が、希望する制服の着用を認めてほしいと訴えました。
2019年はさらに、選択を認める学校が全国に増えていくことを期待します。
参考記事:
那覇高、3学期から制服選択制へ LGBT対応で(沖縄タイムス)
制服の性差撤廃 那覇高が選択制導入 3学期から LGBTや利便性に配慮(琉球新報)
<社説>制服選択制の導入 多様性の尊重は学校から(琉球新報)