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エミー賞で『ル・ポールのドラァグレース』が史上初の快挙を達成

 映画界のアカデミー賞、音楽界のグラミー賞、演劇界のトニー賞と並ぶのが、テレビ番組に対して贈られるエミー賞ですが、今年9月17日(月)にロサンゼルスで行われた第70回エミー賞(プライムタイム・エミー賞)授賞式では、ドラァグクイーンのル・ポールの冠番組として人気を誇ってきた『ル・ポールのドラァグレース』が、リアリティ番組・コンペティション部門で司会賞と作品賞を同時に受賞するという史上初の快挙を達成しました。
 『ル・ポールのドラァグレース』は、次世代のトップクイーン目指して毎週、課題に挑戦するドラァグクイーン版の『アメリカズ・ネクスト・トップ・モデル』または『プロジェクト・ランウェイ』のようなリアリティ番組(コンペティション番組)として人気を誇り、すでにシーズン10に達しています。
 プライムタイム・エミー賞(いわゆるエミー賞)に先立つ9月8日(土)9日(日)、製作や技術面において優れた番組に与えられるクリエイティブアーツ・エミー賞が発表され、『ル・ポールのドラァグレース』は「リアリティ番組・コンペティション部門最優秀司会賞」をはじめとする4部門を受賞していました。そして9月17日(月)のエミー賞本番では、『プロジェクト・ランウェイ』『トップ・シェフ』『アメージング・レース』などを押さえて見事、リアリティ番組・コンペティション部門最優秀作品賞に選ばれ、同じ年に司会賞と作品賞を同時に獲得した史上初の作品となりました。史上初なるか?と待ち構えていた観客は、ワッと爆発的に沸き立ちました。
 ル・ポールは、有名なアンディ・ウォーホールの自由の女神像をデザインした真っ白なスーツに、目の覚めるようなオレンジの靴を合わせ、カルバン・クラインのようなスタイルで登場しました。そして、この受賞がどんなに愛に満ちているか、10のシリーズで140人ものクイーンを世に送り出したことの喜びを語りました。そして「聞いて、もしあなたが自分を愛せないなら、どうやって他人を愛せるの? アーメンって感じよ? さ、音楽の時間よ!」と言ってスピーチを締めました。
 『ル・ポールのドラァグレース』は今年、20の部門でノミネートされていました。司会賞、作品賞のほかに、演出監督賞、ヘアスタイリング賞、衣装賞も受賞しています。


 それから、同じように多数ノミネートされ、リミテッド・シリーズ部門で作品賞、監督賞、主演男優賞に輝いたのが、ライアン・マーフィ(『glee/グリー』や『アメリカン・ホラー・ストーリー』などを大ヒットさせてきたオープンリー・ゲイの監督)の『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』です。
 受賞スピーチでライアン・マーフィは「この作品はたくさんの問題に関するものです。個人の意識の中に取り込まれ、また個人の意識の外に取り出され客観視された同性愛嫌悪に関するドラマです」「この国のLGBTQの4人に1人はヘイトクライムの犠牲になっています。私はこの賞をその犠牲者に、その認知を高めることに、ヘイトクライムに対する法律の強化に、そしてあまりにも早く命を奪われてしまったすべての人に捧げます」と語りました。主演男優賞を受賞したダレン・クリス(『glee/グリー』のブレイン役)はマーフィーに対し「僕を信じ、この機会をくれて本当にありがとう」と感謝の言葉を捧げました。
 『アメリカン・クライム・ストーリー/ヴェルサーチ暗殺』は、有名デザイナーのジャンニ・ヴェルサーチが自宅前で射殺されるというファッション界最大のスキャンダラスな殺人事件をテーマに、連続殺人鬼アンドリュー・クナナンの謎多き半生に迫るクライム・サスペンスです。このアンドリュー・クナナンをダレン・クリスが演じているほか、ペネロペ・クルスやリッキー・マーティンらが出演しています。
 

 もう1人、今回のエミー賞で栄誉ある賞に輝いたセクシュアルマイノリティのアーティストをお伝えします。
 イギリスのエリザベス女王の半生を描いて高く評価されているNetflixドラマ『ザ・クラウン』を監督したスティーブン・ダルドリーが、ドラマシリーズ部門の監督賞に輝いています。スティーブン・ダルドリーは『リトル・ダンサー』『めぐりあう時間たち』『愛を読むひと』などを監督してきたほか(およそ彼の手がける作品には駄作というものがありません)、2012年ロンドン五輪の開会式・閉会式の総合プロデューサーを務めるなど、英国では最重鎮の映像作家・アーティストと見なされており、バイセクシュアルであること(セット・デザイナーのイアン・マクニールという方と交際していること)をオープンにしています。

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