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タイの内閣が同性パートナーシップ法案を承認しました
タイの内閣が、同性カップルに結婚にとほぼ同等の権利を認める「市民パートナーシップ法案」(シビルユニオン)を承認しました。
シビルユニオンの登録をするためには、両方が20歳以上で、どちらかがタイ国民であることが条件となります。この法案は、同性カップルに男女の結婚に準じる様々な権利、例えば相続、福祉の恩恵、病院での権利などを与えるものです。しかし、養子などは認められません。
タイの首都バンコクで11月29日、100名のLGBTQが同性カップルの権利を認めるよう求めるデモが行われました。政府と話し合う公聴会も設けられ、当事者が意見を述べる機会もあったそうです。
「この法は、まだLGBTコミュニティに与えられるべき決定的な権利が欠けている」と、アクティヴィストのWannapong Yodmuangさんは語ります。「法の中心は、同性カップルにパートナーシップを認め、財産の共有ができるようにすること。しかし、たくさんの権利がまだ欠けている」
MtFトランスジェンダーのプンチャラットさんは「私を女性として認めてくれた今の恋人と登録したい。改正すべき点はあるけれど、大きな一歩です」と語ります(タイでは、あんなにたくさんのMtFトランスジェンダーが暮らしているのに、ID上の性別変更が認められていないため、男性と結婚することができません)
「同性愛者だけ別の法律を作ること自体が差別だ」との反発もありますが、LGBT団体の多くは「一歩前進」と評価しているそうです。「男女の結婚と同じ権利を勝ち取るのがゴール。今後も粘り強く改正を求めていきたい」としています。
タイは、LGBTQに寛容なイメージがあり、確かに街のいたるところでトランス女性が働いているのを見かけますし、ゲイシーンも発達しています(一大産業になっています)が、例えば官庁や企業などでLGBTQが働こうとすると、差別や偏見に直面し、カミングアウトしづらい、ガラスの天井がある、というのが実態だそうです。世界銀行が今年発表した調査では、「職業や仕事」で何らかの差別を受けたとの回答は、トランスジェンダーで約60%に上ったそうです。プンチャラットさんも「就職した病院で男性用の白衣を着るよう命じられ、退職を余儀なくされた経験がある」と訴えています。
台湾では来年5月26日から同性婚が認められる予定ですが(先日の国民投票の影響により、結婚ではなく同性パートナーシップ法になる模様)、もしタイがそれより早く法制化を実現すれば、タイがアジア初ということになります。ただし、タイでは来年2月24日、民政復帰のための総選挙が予定されており、議会が2月15日に閉会となるため、次の政権に持ち越される可能性が高いです。新しい政府の議員、職員たちは、きっと法案を通すだろうと見られています。
参考記事:
タイで同性婚合法化へ 関連法案を閣議決定 アジア初、関係者は期待(西日本新聞)
タイ軍政、同性婚法案を閣議認可(newsclip.be)
Thailand's Cabinet Approved The Same-Sex Civil Unions Bill(instinct)
Thailand cabinet approves the first draft of same-sex civil union bill(GAYSTARNEWS)
タイでLGBT+がデモ行進、異性婚と同様の権利求め(毎日新聞)