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東京都文京区が、性的マイノリティが行政窓口や学校で差別的な言動を受けないようにするための職員・教員向けの対応指針を策定しました

 東京都文京区は4月5日、性的マイノリティ(LGBT)が行政の窓口や学校で差別的な言動を受けないようにするため、区職員や教員向けに対応指針を策定しました。LGBT法連合会によると、自治体による網羅的で具体的な指針の作成は全国的に珍しいということです。

性自認及び性的指向に関する対応指針 〜文京区職員・教職員のために〜」の内容を抜粋でご紹介します。
 最初に、LGBTとは、といった基礎知識について触れています。
 「2 区民への対応」では、はじめに「公務に従事するにあたって、性的指向や性自認に関して必要な配慮は、男女平等や人権の観点からも求められるものである。一人ひとりが異なるように、性自認・性的指向の思いの強さや受忍の程度は人それぞれであり、対応方法は1つではないことから、事務を行う際には、相手の意向を汲むコミュニケーションが大切である」としたうえで、窓口や電話での応対(性別を必要以上に聞き直すことを避ける、性別や書類の確認は周囲に伝わらないように指さしなどで工夫する、必要のない性別欄は削除する)、公共施設利用(トイレ等の利用については性自認を尊重)、災害時における対応(性自認、性的指向に係る視点も踏まえる)について述べられています。
 「3 子どもを取り巻く環境」では、はじめに「これまでの学校教育の中でも、人権の大切さとともに差別やいじめをなくすことが教えられているが、性自認・性的指向に関しては、子どもたちの中にも一定程度の当事者が存在することが前提になる。また、実際に差別やいじめにあっていなくとも、本人自身が性自認や性的指向が他者と異なることに気づき、自尊意識が持てずに悩みを抱える時期でもあるため、子どもが家庭以外で最も長く過ごす場である学校内での理解を進め、適切に対応する。なお、こうした対応や配慮は、他の子どもと区別して特別に行うものではなく、子どもたちそれぞれの個性に応じた配慮の1つとして必要となるものである。また、学校と同様に、保育施設、児童館、学童保育、図書館など区の施設に勤める者や、民生委員・児童委員、PTAや校庭開放(こどもひろば)の担当など、子どもたちに接する全ての行政サービスに関係する方々にも周知し、理解を促進していくことが求められる」としたうえで、学校内の体制(全ての教職員が差別・いじめに対して厳しい態度で臨む、悩みや心配を相談できる場をつくる、子どもが性的指向・性自認に関する情報を得られる環境をつくる)、教職員の理解のための取組み(教研修などの実施)、教室における配慮(プライバシーの尊重、セクシュアリティを決めつけないなど)、課外活動などにおける配慮(戸籍上の性別を理由に制限しないなど)、学校生活、施設利用における具体的な配慮事例(規定の制服等について、選択肢を用意するなど)、事務・手続き等における配慮(不要な性別欄の削除、通称名使用など)について述べられています。
 「4 職場内の対応」では、性的指向・性自認に関して差別的言動を行わないこと、プライバシーに配慮し、アウティングを避けることなどが盛り込まれています。

 文京区は2013年11月1日施行の「文京区男女平等参画推進条例」において「何人も、配偶者からの暴力等、セクシュアル・ハラスメント、性別に起因する差別的な取扱い(性的指向又は性的自認に起因する差別的な取扱いを含む。)その他の性別に起因する人権侵害を行ってはならない。」としており、LGBT支援の姿勢を打ち出していました。
 その後、全職員にLGBTに関する啓発カードを配布するなどしていましたが、それでも「何が差別になるのかわからない」といった声が寄せられていたそうです。そこで、LGBT法連合会が監修したガイドラインに基づいて区職員や教員向けの具体的な対応指針(ガイドライン)を作りはじめ、昨年末から区民に説明会を開いたり、パブリックコメントを募集し、また、区議会の意見を踏まえ、このたび、確定版として公表しました。この対応指針は区内の幼稚園や小中学校にも配布されるそうです。

 これまでも、人権指針や男女共同参画プランにおいて性自認・性的指向に言及する(LGBT差別を禁ずる)自治体はたくさんありましたが(LGBT法連合会が「日本における性的指向および性自認を理由とする困難を解消する地方自治体の施策」という一覧を発表しています)、「お題目」ではなく、このように具体的で網羅的な(きめ細かな)ガイドラインを作成することができ、様々な施策が可能だと気づかせてくれたことの意義は決して小さくありません。特に、学校でいじめられたり悩んだりしがちなLGBTの子どもたちにとっては、本当に意味のある(大げさではなく、命を救うような)施策であると言えます。
 
 文京区の瀬尾かおり・ダイバーシティ推進担当課長は「LGBTの人を含むすべての人が窓口や学校で嫌な思いをしないための指針。各現場で柔軟に活用してほしい」と語っています。
 LGBTの問題に詳しい中川重徳弁護士は「先進的な取り組みだ。身近な区職員や先生が今回の指針を主体的に生かしていくことが大切だ」と語っています。
 

参考記事:
LGBT 嫌な思いさせない 文京区が職員・教員に対応指針(東京新聞)
 

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