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資生堂が同性パートナーも配偶者として処遇する施策を発表
資生堂は1月1日付で、同性パートナーも配偶者として処遇するよう就業規則を改定しました。転勤時の別居手当の取得や、慶弔見舞金、介護・育児制度の利用が可能になります。介護・育児休暇は契約社員も取得できるそうです。同性カップルを結婚に相当する関係と認めるのは、化粧品大手では初めてのことだそうです。
行政発行の同性パートナーシップを証明する書類、公共料金の領収書、住居を共にしていることがわかる住民票などのいずれかを提出することが認定条件になるそうです。
LGBT(性的少数者)も働きやすい環境を整えることで、多様性(ダイバーシティ)を重視する姿勢を打ち出し、有能な人材の確保につなげるねらいです。また、資生堂は、海外への展開を加速させているなか、グローバル企業として認められるうえでもLGBT施策が欠かせないと判断したそうです。
資生堂はほかにも、LGBTへの理解を深めるための社員向けセミナーや、LGBTの学生を対象にした就職支援を行っています。女性活用にも力を入れており、今後もダイバーシティへの対応を強化していく考えです。
資生堂は5年以上前から社内規程で性的指向による差別を禁止していたほか、2012年には東京国際レズビアン&ゲイ映画祭に有志社員を派遣し、社員の意識改革を図っています。広報担当者は「20人に1人といわれるLGBTの市場規模は大きく、大切なお客様です」と語っています。
日本でLGBT支援に乗り出した化粧品会社は、実は資生堂が初ではなく、アメリカのM・A・Cが、ビバグラムという売り上げの全てをHIVチャリティとする商品ラインを本国で90年代から展開しており、その関係で2000年代前半にゲイ向けのHIV予防啓発イベントに協賛していました(また、同じ頃、伊勢丹のM・A・Cの売り場にドラァグクィーンの方が勤めるようになり、評判を呼びました)
2015年に渋谷区が同性パートナーシップ証明制度を含む新条例を発表したことをきっかけに、企業の間でも同性パートナーを結婚と同等とみなし、社内規程や福利厚生の制度を変えたり、商品・サービス面で同性パートナーも家族と認めるようにするところが増えてきました。いち早く実施した日本IBMやソニーに続き、昨年は、パナソニックやNTTグループ、朝日新聞社が、楽天、SOMPOホールディングス、ソフトバンク、日本航空、日本トランスオーシャン航空などがこうした取組みを行いました。おそらく本年も、多くの企業がこの動きに続くのではないかと予想されますが、その最初が、資生堂となりました。
参考記事:
資生堂、同性でも「配偶者」 社内規定変更 手当など福利厚生対象に(SankeiBiz)
資生堂「同性パートナーも配偶者」 新規則、福利厚生適用広がる(毎日新聞)
LGBT働きやすく 会社説明会・研修・規定、徐々に(朝日新聞)