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<パナソニック>同性婚、社内規定で容認 4月から
パナソニック株式会社は2016年2月18日、就業規則(「行動基準」)を改めて同性カップルを結婚に相当する関係として認め、福利厚生の対象とする方針を明らかにしました。
この4月をめどに社の「行動基準」を見直し、性的マイノリティ(LGBT)を差別しない姿勢を明確にします。国内外のグループ社員約25万人が対象となります。
「行動基準」では「基本的人権を尊重し、差別的取り扱いをしない」などと定められていますが、これに「性的指向や性自認で差別しない」という趣旨の文言を追加することで、社の「結婚」や「配偶者」の定義を変えるよう検討を進めています。具体的には、慶弔や介護のための休暇、結婚祝い金の支給などが認められる方向です。社員向けの勉強会などで理解を促す取り組みも強化していきます。
パナソニックでは昨夏、社員から「同性婚を考えている」との申し出があり、「行動基準」の見直しに着手しました。渋谷区や世田谷区が同性パートナーシップ証明を始めたことや、パナソニックが東京五輪の最高位のスポンサーとなっており、五輪憲章が「性的指向による差別禁止」を掲げていることも後押ししました。
『ありのままの私』などの著者で、女装する東大教授としてメディアをにぎわせている東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授(社会生態学)は、「他の多くの日本企業への波及効果が期待できる」と評価しています。
これまでLGBTフレンドリーというイメージはあまりなかったかもしれませんが、実はパナソニックは、性的マイノリティに関するダイバーシティ・マネジメント(LGBTが働きやすい職場環境の実現)を議論するフォーラム「work with Pride」の2014年のホスト企業をつとめています。その辺りの経緯について『職場のLGBT読本』(実務教育出版)にCSR担当者の有川さんという女性のインタビューが掲載されています。きっかけは、2013年6月、ロシアで反同性愛法が制定されてソチ五輪からLGBTが排除されると報じられた頃に、パナソニックからもIOC(国際オリンピック委員会)に働きかけてほしいという声をたくさんいただいたことだそうです。
LGBTを差別しないように社内規程を見直し、社員の同性パートナーにも結婚祝い金など一定の福利厚生を認めるという動きは、昨年1月のLUSH JAPANの「LGBT支援宣言」、今年1月の日本IBMの「同性パートナー登録制度」が広く知られるところです(なお、同性パートナーがいると申告した社員に結婚祝い金支給や結婚休暇などの一定の福利厚生を認める制度は、ソニー、日本マイクロソフト、インフォテリア、レナウンなどでも認められているそうです)
今回のパナソニックの動きは、LGBT向けの「同性パートナー登録制度」を新設するのではなく、異性愛者と同性愛者を完全に平等に扱うという思想で「結婚」の定義を変えるもので(ある意味、同性パートナーシップ法ではなく「結婚の平等」)、同性婚を前面に打ち出したところが新しく、また、外資系ではない、日本を代表するような企業が「同性婚」を認定と報じられたところにインパクトがあると言えるでしょう。安冨教授が述べているように、他の日本企業へも波及していくことが期待されます。
参考: <パナソニック>同性婚、社内規定で容認 4月から 2016.2.18 毎日新聞