アウト・ジャパン通信Vol.5

OUT JAPANからの案内

◎はじめに

みなさん、こんにちは! お待たせいたしました!
『アウト・ジャパン通信』第5号です。


『アウト・ジャパン通信』では、アウト・ジャパンのメンバーが行っている日々の活動を
Youtubeの動画で発信すると共に、毎回さまざまなゲストにコラムを寄稿いただいて、
多様な視点からLGBTにまつわる情報を発信しております。

ゲストコラム

地元・名古屋のレインボープライド参加報告!

初めまして、「りぃな」です。

私はLGBTQ+のうちのひとつ"レズビアン(女性同性愛者)"であり、日々、会社員として頑張っている26歳です。

今回のコラムでは、私がLGBTQ+の若者のための居場所「名古屋あおぞら部」を運営してきた経験から、日本に住むLGBTQ+当事者の若者の“今”に関連したトピックをお届けできればと思っています!

※名古屋あおぞら部については、以下NHKの記事をご覧ください。
https://www.nhk.or.jp/nagoya/lreport/article/001/23/


2024年6月15日に、年に一度の名古屋レインボープライドが、愛知県名古屋市栄で開催されました。

LGBT-Ally プロジェクトもブース出展されていましたので、会場までお越しいただいた企業の皆さまも、たくさんいらっしゃるかと思います。

実際 何人かの方に、「LGBT-Ally プロジェクトで名古屋あおぞら部のこと知りました!」とお声掛けいただき、私も大変うれしかったです!
(名古屋は、程よい規模感、会場へのアクセスの良さなどから、とても過ごしやすいです。まだご参加されたことがない方も、よろしければ、ぜひ来年はご参加ください!)

名古屋あおぞら部としては、今年度も、普段からスタッフをしている大学生や20代前半の社会人のみんなとブース出展を行いました。

今年度は、約5万5千人の方が会場であるオアシス21へご来場くださり、名古屋あおぞら部のブースにも大勢の方にお立ち寄りいただきました。

今回のコラムでは、名古屋レインボープライドの様子と、プライドイベントに必ずある"プライドパレード"に企業として参加する重要性について、お話しさせていただきたいと思います。


 ◆地道な周知活動の成果! パートナーシップ/ファミリーシップ制度に取り組む自治体は30以上に!

名古屋レインボープライドは、名古屋で一番の繁華街・栄の中心にある「オアシス21」という施設のイベントゾーンをお借りして、ここ数年開催しています。

名古屋エリアにお住まいの方はご存じかもしれませんが、オアシス21は街の中心部にあって、ご家族連れはもちろん、若い世代からご年配の方まで みんなが買い物をしたりご飯を食べたり、また、中央のイベントゾーンでは毎週 何かしらのイベントが開催されているなど、非常に にぎわっている場所です。

そのイベントゾーンに、今年は27個のNPO団体/LGBTQ+当事者グループ/企業のブースとステージを並べて、名古屋レインボープライドは開催されました。

一番目立つ中央部分には自治体のブースがあり、愛知県内でパートナーシップ/ファミリーシップ制度に取り組む資料展示がありました。数年前まで、愛知県では これらの制度に取り組む自治体が2~3しかありませんでしたが、今では30以上と増えてきています。
(加えて、県全域で利用できる県の制度も始まりました!)

※イベント当日の写真を名古屋あおぞら部のHPに掲載していますので、そちらについても、ぜひ以下URLよりご覧ください。
https://asta.themedia.jp/posts/54336886


 ◆参加できない仲間の想いが詰まった横断幕に、手話のレクチャー。たくさんの学びを得た一日!

名古屋レインボープライドは年に1日だけの開催で、午後にはパレードがあります。
そのパレードでは、繁華街・栄をグルっと囲むようなコースを30分ほどかけて歩きます。

パレードフロートは毎年5つほどで出るのですが、今年は、フロートごとにコンセプトが事前に発表されていました。
ちなみに、名古屋あおぞら部では、第4フロート「ユースと手話」に参加しました。

ユースということで、フロートの先導するトラックには、三洋化成さま(LGBT-Ally プロジェクトにもご参加中!)と名古屋あおぞら部で事前に作成したLGBTQ+ユースたちの寄せ書きが詰まった横断幕が今年も掲示され、パレード当日に参加できない仲間の気持ちを横断幕という形にして一緒にパレードに参加させていただく この方法は、とても ありがたいと感じています!

また、このフロートでは、名前の通り出発前に手話で「Happy Pride」と表現する方法のレクチャーもあり、大きな学びになりました。
名古屋あおぞら部でも、少し前から手話で対応できるスタッフにも加わってもらい対応していますが、私自身ももっと手話でコミュニケーションできるようになりたいなと感じました。

パレードには、三洋化成の皆さん・名古屋あおぞら部のみんなを先頭に、LGBT-Ally プロジェクトアライプロジエクトの皆さんも一緒にご参加いただきました。

ありがとうございました!!


 ◆名古屋あおぞら部が考える、「"プライドパレード"に企業として参加する重要性」

プライドイベントには、必ず"プライドパレード"があります。
その重要性については、世界のLGBTQ+の歴史やプライドの意味など さまざまなところで語られていると思いますので、今回は名古屋あおぞら部目線で「"プライドパレード"に企業として参加する重要性」を語らせてください。

それは、パレードに参加したいけど参加できないLGBTQ+当事者の分まで、堂々とパレードに参加することだと思っています。

名古屋あおぞら部から名古屋レインボープライドのパレードに参加している人数は、毎年5~15人。
今年度は友達や家族を誘ってくれた子が多くいて、10人を超えることができました。

しかし、名古屋あおぞら部自体の年間参加者は300人超であり、普段の名古屋あおぞら部の活動には毎回50~60人が集まることを考えると、とても少ない人数であることが分かるかと思います。

名古屋あおぞら部の参加者の多くは、名古屋レインボープライドの当日、以下どちらかの行動を取っています。

【1】名古屋レインボープライドの日は、会場であるオアシス21や名古屋あおぞら部ブースまでは行くが、パレードの時間は沿道から こっそりパレードを応援している。
(=パレードに参加して、LGBTQ+当事者かもしれないと周囲の人に疑われないように)
【2】名古屋レインボープライドの日は、会場のある名古屋の繁華街・栄には そもそも近づかない。
(=名古屋レインボープライドに参加して、LGBTQ+当事者かもしれないと周囲の人に疑われないように)

【1】【2】どちらのケースも多数存在します。そして、多くの10~30代のLGBTQ+当事者にとって、「パレードに参加できない状況(=LGBTQ+当事者かもしれないということを周囲の人に知られてはいけない、という状況)」が どれだけ身近にたくさんあるかということをお分かりいただけると思います。

こんなことを書いている私自身も、(名古屋あおぞら部の代表をしている手前)名古屋レインボープライドのパレードには毎年参加していますが、本当はパレードに参加することは極力避けたいし、今でも恐怖心を抱えながら参加しています。

それは、名古屋が私の地元であるからこそ、「パレードに参加できない状況(=LGBTQ+当事者かもしれないということを周囲の人に知られてはいけない、という状況)」をいくつも抱えているからです。

そのため、毎年 名古屋レインボープライドのパレードには参加していますが、パレード中はサングラスを一切外さないようにしています。
(=知り合いに顔を見られて、LGBTQ+当事者かもしれないと周囲の人に疑われないように)

サングラスを外して堂々と地元のパレードに参加できる日が一日でも早く訪れたら良いのにな……と、毎年 心から強く思っています。


 ◆私たちも共に考えます! ぜひお声掛けください!!

・企業として、どんなことができるのか?
・どんな取り組みなら、LGBTQ+への支援になるのか?
こういったことをお悩みになられている、というお話を よく伺います。

正解はない問題だと思いますが、私は「企業として"堂々と"パレードに参加すること」は、企業ができることの一つとして やはり大きいと思っています。

そしてパレードに参加する際にはぜひ、「企業をアピールしよう!」ということだけではなく、「パレードに参加できていないけれど確実に、この会社の中にも自分の身近な人の中にもLGBTQ+当事者はいるんだ」という気持ちを忘れずにいてください。

来年の名古屋レインボープライドは、ぜひ名古屋あおぞら部と一緒に歩きましょう!

最近の小泉の活動

この10月に、IGLTA総会が いよいよ開催! さらに、国内での地方自治体さまとの取り組みから海外へのツアー企画まで、どど~んとお知らせします!

最近の小泉について

・10月23日(水)~26日(土)にIGLTA総会が開催されます!

以前、本サイト内でもお知らせさせていただいた通り、大阪のスイスホテル南海大阪で、アジア初のIGLTA総会が開かれます。
それに伴いまして、地方自治体や旅行会社のご担当者さまといった参加者さまが こぞってブースを出展されて、その集合体みたなものを私たちは「IGLTAパビリオン」と呼んでいます。ここに、15個ほどのブースが集まります。

併せて、さまざまなイベントも実施されます。
まずは10月23日にオープニングイベントとして、大阪城がキレイに見える素敵なレストランで、およそ500人が集まるパーティーを開催。

さらに、翌日の24日には、LGBTQ+の当事者の方たちはもちろんのこと、ドラッグクイーンやGOGOボーイの方などもお招きして、”日本らしい”盛大なパーティーを住吉大社で行います。

また、この2日間、フロートを2台出させていただき みんなで歩く予定ですので、一緒に歩きましょう! 当日飛び入りも可能ですので、ぜひ、お気軽にお声掛けください!

そして25日には、心斎橋のクラブでクロージングパーティーを行います。
はるな愛さんや、マドンナやチャカ・カーンといった大スターの専属ダンサーをつとめたケント・モリさんなど、豪華ゲストもお招きしています。

さらに26日がレインボーフェスタ、27日には海外の有名なドラッグクイーンを招いたドラッグクイーンショー『オピュランス』が日本で初めて開催され、これがZeppなんばで行われます。
今回は、ジェイダ・エッセンス・ホールなどゴージャスなドラッグクイーン3人が来日! ちなみに、本イベントについてもIGLTAの関連イベントとなります。

この前の週が金沢レインボープライド、また、大阪のあとが九州レインボープライド開催となり、もちろんIGLTAの皆さんも参加されます。
3週連続で皆さまにお会いできる機会があること、今から本当に楽しみです!!

本項最後にお願いで恐縮でございますが、正直、協賛スペースに余りがございます。
もしご興味ある企業さま・ご担当者さまがいらっしゃいましたら、よろしければ、お声掛けいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。


 小泉へ質問

 【質問1】最近、地方自治体や観光局からのセミナー依頼などの問い合わせが多いと聞きます。これに対して、具体的に どういった提案やアドバイスをしているのですか?

例えば、既にLGBTQ+の受け入れに積極的なホテルだけではなく、おみやげ屋さんやレストランなどの事業者さんに向けて「LGBTQ+は こういう方たちなので、こういう接客をすればいいと思いますよ」ということをお伝えさせていただくことにより、”その街全体として” LGBTQ+を迎え入れていただく。
そして、こうしたお問い合わせに一つひとつ真摯に対応させていただくことによって、この動きが北海道から沖縄まで全国津々浦々広がり、ひいては日本という国全体がLGBTQ+フレンドリーな国になってくれたらいいな! という思いで本活動に邁進しているところです!

 【質問2】新しいツアー企画を計画されていると聞きました。詳細を教えてください

ホテル、地方自治体など、一緒にお仕事をさせていただいている皆さまと、”お勉強ツアー”という形で どこかへ行きたいと思っているんです。過去に台湾やカナダなどBtoCの企画は実施してきましたが、今後はBtoBの企画も実現させたいと考えています。
そこで今考えているのが、2025年の6月にアメリカのワシントンDCで開催されるワールドプライドへ、ツアーを組んで先述の皆さまと行きたいな……と。現地のコミュニケーションセンターやプライドセンターなどとも積極的に交流し、社会勉強ができたらと思っています。

詳細は、また次回の本コーナーでお伝えします! お楽しみに!!

 

最近の屋成の活動

プライドマンスでの明治グループさんのファシリテーションや、映画トークセッションの新作上映決定! さらにeラーニング新バージョンのお知らせなど、盛りだくさんのご報告!!

最近の屋成について

 ・2024年6月のプライドマンスでは例年通り、研修の実施や映画のトークセッションなど、いろいろな取り組みをさせていただきました。

また、今年の新しい取り組みとして、明治グループさんのファシリテーションをさせていただきました。具体的には、役員の方を含む明治グループの上層部御三方がグループ全体の社員さんへ向けて、LGBTQ+の取り組みについて発信していく。その企画を屋成がファシリテートさせていただいた、というものです。

社員の皆さんが、ただ研修を受ける・講師の方の話を聞くだけではなく、社員の方からも発信をしてもらい双方向のコミュニケーションを醸成しよう! という企画のお手伝いをいたしました。


・こちらも例年通りとなりますが、LGBTQ+に関する映画を観てのトークセッションも実施させていただきました。

過去、複数回にわたり上映させていただき ご好評を博した2作品、『カランコエの花』、『片袖の魚』も大分 皆さまに浸透したため、『Veils 』という新たな作品の上映をさせていただくことが決まりました。

本作品はレズビアンをテーマにした作品で、ウエディングフォトを撮影することを ささやかな楽しみとしている女性同士のカップルのお話です。
レインボー・リール東京やクィア映画祭でも上映され好評だった本作品は、上映時間18分。8月30日(金)にオンラインイベントも開催させていただきますので、皆さま、ぜひご参加ください!!


・アウトジャパンのLGBTQ+のeラーニングの動画をご購入いただいている皆さま、いつもご利用いただき、誠に ありがとうございます。

このたび、本eラーニングはバージョン5をリリースさせていただくことになりました。昨年(2023年)には理解増進法ができるなどLGBTQ+にまつわる日々の変化に対応した最新版となります。
既にご購入いただいている場合は、無償でバージョンアップが可能となります。

こちらも、こう ご期待ください!

そして もう一点、eラーニングとは別件ですが、ここで告知をさせてください。
今年もAlly Projectの年末意見交換会を、東京はRidgelinez株式会社、大阪はUSJで開催することになりました! 詳細は次号にてお伝えできるかと思いますが、取り急ぎのお知らせだけさせていただきました。

 

屋成に質問

 【質問1】今回の『Veils』のように、今後も、映画トークセッションで新作を上映する予定はあるのでしょうか?

あります。実は今、私・屋成が新作ショートムービーのプロットを制作中でして、詳細は次回の本コーナーで改めてお伝えさせていただく予定です。

どうぞ、ご期待ください!


 【質問2】明治グループさんのファシリテーションにおいて、何かトピックはありますか?

ある役員の方から、こんなお話をしていただいたんです。

「私は毎朝、娘のお弁当をつくっているんですが、そのことを あるとき周りに発信してしまったんです。でも、”父親である私が娘のお弁当をつくってあげている”ということを わざわざ発信することが、”(料理は)女性がすべき仕事”であると決めつけているようで良くないのではないか? と考えるようになりました」
このように語ってくださったんですが、これ、すごいことだな! と。

このお話を聞いていた社員の皆さんも、役員さんから”こういった身近な話題でダイバーシティに関する気付きをもらえるとは!”という空気でしたし、こういった身近な話題だと双方向のコミュニケーションを醸成するキッカケになるのではないかと思いました。

 

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